「本番数週間前に一度演奏が崩れる訳」と「対処法」

本番数週間前になりました。

『早く本番来ないかな~♡聴いてほしい、私の演奏!』

あるいは、

『まだまだダメ~来ないで本番(-_-;)』

など、色々な生徒ちゃんがおられるでしょう。

 

 

初出演のお子様や、小学生低学年のお子様の方が早めに仕上げておりますので、いつでも本番OK状態ですが、

本番の怖さを知っている中高生になりますと、演奏曲目も大曲ですし緊張の日が始まっているかも知れません。

そしてなんと演奏が崩れてくる現象も起きます。

なぜ練習しているのに、急に弾けなくなったの?とみんな焦ります。

 

 

 

でも大丈夫。よくあることです。

そしてここを通って一番良い状態に持っていけます。

 

実は下手になったのではなく、知らず知らずのうちに本番を意識して身体が緊張してしまい、腕の稼働域が狭くなったり、手首に力が入ったりという身体的な反応が起きていることが要因です。

 

あれっ(-_-;)、なんか弾きにくい、下手になった?と思ったときは、

●まず肩を下げること。(緊張するとだれしも若干、肩が上がります。)単純なことですが、「肩を下げて」の一言伝えるだけで力みのある固い音から、のびのびとした豊かな響きに変わります。

 

椅子を少し後ろに引いて。

皆さん、不安になるとなぜか鍵盤の近くにイスを持っていこうとします。それは逆効果。腕の稼働域が狭くなり、ひじが上がって弾きにくくなります。「いつもより後ろ」の意味ではなく、椅子が前(鍵盤近く)に行き過ぎていないか確認しましょう。

 

イン・テンポで弾かない。

手首の力を抜きながら弾いていることを確認できるテンポで、全体をゆったり弾いてみる練習法を長めに取ることです。

 

緊張すると心拍数が高くなるので、演奏テンポが速くなりがちです。

また練習に慣れてくると雑さが出てきて、どんどんテンポが速くなることもよく起こります。それが楽曲と演奏力に合っていれば問題ないのですが。

テンポが速くなると運指が追いつかず、指が絡んで弾けなくなったように感じます。

突然トリルやターンが綺麗にきまらなくなったり、16分音符、32分音符などの速いパッセージがもつれる体験はよくあることです。

 

 

思い当たる人はメトロノームで一度、本番のテンポ(楽曲に相応しい速さ)を確認してみることです。案外当初の曲想よりかなり速く弾いていることに驚くでしょう。

そのようなときはゆっくり片手練習をすること。手首を少し低めに構えてmp(メゾピアノ)くらいの音量でゆったり打鍵してみてください。

お指のメンテナンスも兼ねられて良い方向に変わります。

 

セクションごとに弾いてみること。

通し練習ばかりせず、曲の途中から弾き始める練習は本番のアクシデント(突然、何を弾いているか分からなくなるとか、途中で止まってしまったなど)に備える大切な練習法です。

当門下生の皆さんは、しっかり練習を重ねておられるので毎回そのようなハプニングは起こらず、難なく弾かれます!

それはセクションごとの暗譜練習も、しっかりレッスン中に管理と言いますか(笑)、確認しているからです。

左手伴奏部の暗譜には皆さん苦労されるものの、そこまでしておくと大丈夫。

「細部までこだわり練習してきている(練習させている)」という練習内容が本番の緊張を楽しむことに繋がります。

 

楽譜をよく読みなおすこと

打鍵練習がピアノの練習のすべてではありません。本番近くになりますと、演奏技術や暗譜の確認作業ばかりに気持ちが行き、肝心な音楽、曲想が希薄になることもよくあります。

練習の前、または後に必ず楽譜を見る(読む)時間を取りましょう。鍵盤を使わずに頭の中で音を表現する練習もとても大切です。デュナーミクの確認や暗譜の練習にもつながります。

 

コンクールに出られる直前にも、よく楽譜をぎりぎりまで見ているお子様がいますが、頭の中で音楽を再現して落ち着かせているのです。

この練習法は小さなお子様にもできますからぜひお勧めします。

 

 

 

 

(話は変わりますが)

社会人になられた元門下生から有難いことに今でも時々連絡をいただきます。元門下生の飲み会もあります(笑)

 

その中で皆、口々に言われるのは、

ピアノの発表会ほど人生の中で一番緊張した時はなかったと。(笑)

外科医として活躍しているK君は、初めて患者の体にメスを入れる時もピアノの発表会を乗り越えたことが支えになった・・・とか、(そういえばkくん、指とペダルの足の震えが止まらなかったと言ってたわよね(^_-)-☆)

大勢の顧客や上司の前でプレゼンするときも、発表会の緊張に比べたらなんてことなかった。アレを経験していたらなんでも大丈夫!とか。(うんうんわかるっ!ピアノ演奏独特の緊張感。一度出した音は消しゴムで消せないからね~)

 

「ステージで演奏する」ということは、学校生活でも体験できない非日常体験です。

この特別な体験が今後のお子様のご成長に大きく役立ち、ご家族皆様にとりましても良い記念の機会となりますよう心から祈っております。

 

そして本番まであと少し、全力でお子様に向き合いたいと存じます。

 

体調に気を付けて元気にお稽古を頑張りましょう。

(近藤直子)

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