「指使い」が大切な訳(ピアノ演奏編①)

7月に開催予定の<第26回門下生コンサート>に向けてお稽古がスタートしました。

未就学児の小さなお子様は、長い期間かけて同じ曲をお稽古すると飽きてしまい、本番前に演奏が崩れてしまうことが多いので、3~4か月前から取り組めば十分なのですが、

 

小学生高学年から中学生・高校生になりますと、塾や部活動と両立させていく中で大曲、難曲に挑戦するため、

余裕を持ってステージに上がるには練習に4か月以上欲しいところです。

 

4月はきっと進級進学で新しい環境に慣れるのに精一杯、

どのお子様もピアノの練習がなかなか進まず、5月の連休が明けていよいよ本腰となります。

 

~ということで2月・3月は【リーディング(譜読み)月間】として一日も無駄にしないよう読譜を進め、4月に入る前にコンサート曲の譜読みを一通り終わらせたいところです。

 

 

 

さて譜読みをしていく中でとても大切なポイント、それは『指使い』(指番号)を守ることです。

音名やリズムを楽譜通りに演奏するのはもちろんですが、指番号にもしっかり気を配りましょう。

 

 

楽譜に書かれている<指使い>を守らず自己流になるとフレーズが変なところで切れたり、指が速く動かなかったり。

また太い音が欲しいところで4番5番の指を使うと重厚な音が鳴りにくい。

黒鍵を含む音列を速く演奏しなければならない時に、なるべく黒鍵の音に5番の指を持っていかない。(黒鍵は白鍵より鍵盤の幅が細いので、5番の指を立てて使うとミスタッチにつながりやすいのです)

 

などなど、どの指を選ぶ(使う)かによって弾きやすさが変わってきます。

またお子様の指の長さによって弾きやすい<指使い>が違うので、そのお子様にあった<指使い>に変更することもあります。

 

先生が楽譜に書いた<指番号>の通りに弾くと、弾きにくかったフレーズが魔法がかかったように弾きやすくなったり、綺麗な音が出たり・・・

そんな体験をどの生徒さんもされているでしょう!

 

 

さてキャッチ画像の楽譜は、モーリス・ラヴェル作曲『Miroirs(鏡)』の‘洋上の小舟‘です。

私が20代後半にミュンヘン音楽院でルードヴィヒ・ホフマン先生の指導を受けた時の楽譜です。

ホフマン先生の指番号の書きこみが懐かしいです。

 

↓ディプロマをいただいた時の記念に、ホフマン先生にサインをしていただきました。

これも懐かしい~

 

↑あ~っ、ホフマン先生の怒った時の筆跡・・・(笑)

これも懐かしい~

 

その当時の私の一日の練習時間は約7時間くらいだったと思います。

あんなにピアノの練習をしたことは後にも先にもないです。

食事と睡眠時間以外はずっとピアノの練習をしなければ課題がこなせず、癇癪持ちのホフマン先生の超絶おそろしいレッスンに耐えられないので、とにかく弾いて弾いて弾いて。

 

~指使いを工夫して運指に負担をかけず、美しい音を出す~

~日本のピアニストはもっと指使いの重要性を知り、自分の指にあった番号を探る作業をするべき~

このことをホフマン先生から繰り返し言われました。

 

 

いつも私が生徒さんにお伝えしている『指使いの選択と決定は、<読譜>の作業の初めにするべき大切なポイント』という話は、ミュンヘンの空の下で学んだ基本事項でした。

 

特にヘンレー版などの輸入原典版には指使いの記載が少ないので、演奏者に合う指使いを楽譜に書きこむなど、運指の工夫をしましょう。

 

はじめに指使いを決めてしまえば、あとは打鍵練習の中で音楽を作っていけば良いのです。

 

 

さてあれから20数年経ちましたが、ホフマン先生は今どうしておられるでしょう。

 

ミュンヘンでの様々な想い出が久しぶりによみがえりました。

(近藤直子)

 

 

 

 

 

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